2016年1月4日月曜日

Planetary Health 〜責任ある消費のすすめ〜


こんにちは!COY11Tokyo実行委員の久保田彩乃です。私はCOY11Tokyoで「Planetary Health」というセッションの講師を務めました。私は普段は医療を学んでいます。そこで今回は健康×気候変動のテーマでお伝えします!

Planetary Healthとは?】

Planetary Healthとは人間の活動が地球に与えた影響と人間の健康との関係性から、地球全体の健康を扱う学問です。とても簡単に表現すれば、「私の行動が地球環境と私の健康にどう影響するんだろう?」ということです。
少し歴史をさかのぼって考えてみます。人間が地球上に現れる前、生物のエネルギー源は太陽だけでした。そして地球上に存在するもののみを食べていたため、すべての物質が循環していました。
この自然生態系に人間が加わるとどうなったでしょう。人類生態系は自然生態系と大きく二つの違いがあります。一つは太陽以外のエネルギー源を生み出したことです人間は化石燃料や核燃料により、地球上のエネルギーの流れを変化させ、地球温暖化をもたらしました。もう一つは食料生産を自ら行ったことです。本来、生物は地球上の食物の量をコントロールしませんが、人間は家畜を飼い、農業を営むことで食料を地上に新たに生み出し、生態系を大きく変化させました
他にも人間は森林伐採を繰り返し、農地や都市を開拓しました。さらに、自然にはなかった物資を作り出し、使い、環境中に使い残してきました。これらの物質は自然に分解できないものがあったため地球上に溜まり、環境汚染を引き起こしたり人間の健康を脅かしました水銀やカドミウムなどが原因の公害問題はみなさんもご存知かと思います。
図で表すと下のようになります。人間の活動は人間自身の健康と地球の健康に影響を与えます。人間が健康になれば地球も健康になるというわけではなかったのです。


Boyden’s Biosensitivity Triangleを基にした図です。



【私の買い物が砂漠化を引き起こす?】

もう少し具体的な例で人間の活動と健康の関係性を捉えてみます。
近年、主に中国から飛来する黄砂が日本でも問題になっています。中国では砂漠と砂漠化の危機に瀕している土地を合わせると国土の1/4以上にもなります。
砂漠化の原因は気候的要因と人為的要因がありますが、近年では人為的原因がかなり大きいと言われています。人為的原因の一因に過放牧があります。特にヤギの過放牧が進んでいますが、ヤギは草を根まで食べつくしてしまうため、土地が荒れ、砂漠化の深刻な原因になります。しかし、ヤギはカシミヤの原毛になり多くの利益を得られるため、人々はヤギを放牧するのです。世界のカシミヤ原毛生産量のうち、中国産は全生産量の約7割を占めています。
日本人はカシミヤを多く消費しています。そして、日本人は黄砂の影響で、健康面では心臓血管系疾患や気管支疾患を患ったり、洗濯物や車、農作物が砂まみれになるという被害を受けています。



【私たちが普段からできることは?】

私たち人間の行動で環境を破壊し、自分たちの健康にも影響を与えるということは、私たちの行動で環境破壊を食い止め、健康を守ることもできるかもしれません。
ここで、私が実際に日常から行っている取り組みを紹介します!



着るということ
カシミヤの例のように「あなたが何を着るのか。」ということも重要です。
日本は衣類の約95%以上を中国などからの輸入に頼っています。その輸送過程でたくさんの二酸化炭素を排出しているのですこの二酸化炭素は気候変動にも影響を与えます。
私は衣類を買うとき原産地や原料にもこだわります!

食べるということ
私たちは毎日食べて生きています。例えば牛肉を食べるという一つの選択も地球温暖化と関わっています。牛はメタンガスという強力な温室効果作用をもたらす物質を排出します。メタンガスの年間排出量の16%が反芻動物のゲップによるものです。さらに5%が家畜の糞尿からです。牛は現在世界で13億頭いますが、牛1頭は年間約75kgのメタンを排出しています。
そこで私はベジーマンデーという取り組みをしています。毎週月曜日に肉は食べず、野菜を美味しく楽しむ日を設けています。 私が週に1日肉を食べないだけで、車の走行を1700kg節約することと同じ効果があるそうです。これは400kgの温室効果ガスを抑制するのと同じことです
ベジーマンデーの詳細はこちら!(COP21でアーノルド・シュワルツネッガー氏もおすすめしたそうです!)

私たちは消費することで生きています。
私たちはこの大量消費の社会の中で、今こそ「責任ある消費者」になるべきだと私は思います。
どこかの誰かのために、ではなく、今のあなたのためにクールな消費をしませんか?

【参考文献】
The Rockefeller Foundation Planetary Health

Australian National University  The Transition to a Biosensitive Society

独立行政法人国際協力機構 砂漠化する惑星

株式会社 野村総合研究所  平成20年度アジア産業基盤強化等事業報告書
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g90415a01j.pdf

ベジーマンデージャパン
http://veggiemonday.japanteam.net/index.htm




0 件のコメント:

コメントを投稿