2014年12月9日火曜日

COP20と再生可能エネルギー(1)~市民・地域共同発電所~】


さて,本日の記事は,CYJ歴4ヶ月のひよっこ(27歳)がお送りします。

テーマは,再生可能エネルギー。

エネルギーの脱炭素化は気候変動の緩和の選択肢としてIPCC AR5に明記されていますが,
ご存知のとおり,日本は再生可能エネルギー(RE)を発電に利用する割合が低く,Green House Gas: GHG削減に向けたネックのひとつとなっています。
原子力発電もGHG排出削減自体には効果を発揮しますが,それ以外のリスクの大きさ,住民理解を得る難しさ,核燃料廃棄物処分の課題,海洋温暖化への寄与など,
持続可能性という点で疑問符がつきます。

従って,住民の理解が得られやすくまた国際理解を得る意味でも長所のあるREの普及は,
日本の気候変動対策を推進し,国際交渉の場での立場を上げることにも繋がるはずです。


そこで今回紹介したいのが,「りょうぜん市民共同発電所&福島県北農民連第一発電所」です。
私は,CYJもお世話になっているNPO「気候ネットワーク」が主催する「福島・自然エネルギー学校」に参加し,
この太陽光発電設備を見学することが出来ました。(二つの発電所は厳密には出資母体が違うものの隣接している)



行ってみてまず感じたのが,「意外にナチュラル」!!

おそらく周りの土地が広いためか,景観的にも思ったほど不自然な感じがしませんでした。
施設内にはイノシシが土を掘り返した跡なんかもあり,のどかでした笑 (イノシシはパネルには損害を与えないそうです) 




りょうぜん市民共同発電所の方は,投資信託を介して一般の方からの出資によって成り立っており,20年間で償還される予定になっています。
農民連というのは,農業を営む人なら誰でも加入できる団体で,各県に○○県農民連というかたちで存在しています。
つまりこの二つは市民もしくは地域住民による発電所ということです。設備容量(単位時間当たりの最大出力)は合わせて150kwだそうです。これは平均的な家庭の30~40世帯の電力を賄えることになります。

もちろん,市民発電所の運営によって出資者に配当もして,ということが可能になったのは,
 「固定価格買い取り制度」(Feed In Tariff: FIT)のおかげであります。
ただ,FITを活用するといってもその目的は様々で,
市民・地域発電所の特徴は「市民による市民のための」というところです。

モデルとなったのは環境先進国,ドイツ。
ドイツでのFITに相当するものは2000年に始まり,
2010年に導入された自然エネルギーによる発電所の約半分は市民・農民が所有していると言われています。

市民発電所を,再生エネの普及という面からみたメリットは一般的に,
 ・発電に関わる雇用を生み出し,地域活性化の可能性をもっている
 ・地域住民による発電所なので,設置に対する理解が得やすい
などが挙げられます。

また福島で行う福島県民へのメリットとして,
農地からの転用をした場合に,風評被害を被らない形で土地に利益を生み出す一つの方法とも考えられます。
今回現地で色々お話を伺って感じたのは,「福島を復活させるためにやる」あるいは「自分たちの手でエネルギーを」ということでした。
それが気候変動対策にもなるなら一石二鳥なわけです。
「エネルギーの自給自足」という観点から,地域におけるRE,特に太陽光発電の普及には可能性を感じました。


一方でまだまだ課題もあり,
 ・日本のFITがまだ発展途上で,資金集めに苦労することが多い
 ・大企業との競合になった場合に勝ち目があるか
などが挙げられます。

2012年にスタートした再エネの固定価格買い取り制度ですが,電力会社が再エネの大口買い取りを中断するなど,
技術的にも制度的にもまだまだ再エネ普及にとっては困難がありそうです。
また,太陽光は比較的初期投資が少なくてすみ短期間にできるため市民にも手を出しやすいのですが,
企業にとっても早期に利益を回収できるので両者が太陽光に集中してしまっています。

これを打破するために例えば,企業レベルの資金規模がないと出来ないような大型の風力発電などは企業が担い,
太陽光は市民が,などの棲み分けを促す制度が出来ればと思っています。
ただデンマークでは風力発電さえ市民が行っているようなので,このあたりの制度に関してはもっと勉強しないと,と思っています。


都市と農村の暮らしが画一的になる必要はないのではないかと思います。
地方の過疎化と気候変動は一見結びつかないのですが,
市民・地域共同発電所という仕組みはその両方の解決策となる可能性を秘めているのではないでしょうか。


最後に。
本日の「記事は」などと始めてしまったものの,ウラ取り不足の面もあるかと思います。
ご指摘ご意見ありましたら是非コメントをよろしくお願いします!

(次回,余力があれば,もうひとつの再生可能エネルギー普及の可能性,「浮体式洋上風力発電」について書いてみたいと思います。こちらは都市の電気を賄い地方に「外貨」をもたらす可能性を秘めているのでしょうか?!その辺を勉強中です。)

やさか


※参考文献:「市民・地域共同発電所のつくり方」和田武,豊田陽介ら編著,かもがわ出版,2014

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