2010年11月23日火曜日

【交渉のポイント(2)】 2013年以降の枠組みはどうなるか?―

前回の記事で、COP16の意義はCOP15で決められなかった2013年以降、
すなわち京都議定書の第一約束期間が終わった後の期間
にどのような国際的な枠組みを築くことだということを述べました。
http://cyjclimatenegotiations.blogspot.com/2010/11/1.html

しかし、発展途上国と先進国との対立は深刻で、既に今年の3月頃より、
COP16 での合意は難しいとの憶測が出ていました。
その後も交渉に目立った進展は見られず、2011年に南アフリカで
開催されるCOP17および京都議定書第7回締約国会合(CMP7)で
最終的な法的合意を目指すべく議論が進められています。

ここで、今月29日よりメキシコ・カンクンで開催されるCOP16で、
2013年以降の枠組みがどのような方針で着地するかが注目されています。

京都議定書に参加している国々の温室効果ガス排出量は
世界の総排出量の約3割に満たず、米中をはじめとする主要な排出国が
参加しない枠組みは気候変動問題の解決に本質的な意味を持たないと
いう意見がある一方で、中国・インドをはじめとする新興国・途上国の多くは
先進国の歴史的責任や途上国の経済的な現状から、
途上国が削減義務を持たない京都議定書の枠組みを2013年以降も続ける
べきだとしています。
米国も引き続き京都議定書の枠組みの延長を支持しています。

そのような中、欧州連合(EU)は米中を含めた新たな枠組みを支持していましたが、
京都議定書の延長も次善の策として、議定書延長に傾きつつあります。
一方で、日本政府は京都議定書の単純延長は日本の国益を損なうものとして、
強く反発していますが、今のところ京都議定書の延長に反対しているのは
日本、ロシア、カナダの3カ国に留まっています。

この論点について、日本国内の主な団体の意見は以下のようになっています。

○NGO(気候ネットワーク)
京都議定書の枠組み内でも主要排出国を含めた枠組みの検討は可能。
日本政府は京都議定書の延長反対に固執せず柔軟に対応すべき。
http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2010-11-16.html

○経済界(経済団体連合会)
すべての主要排出国が参加をしない枠組みは参加国企業の
国際競争力を阻害する。
いかなるかたちでも京都議定書の延長も
主要国参加の動機付けを阻害するものであるので反対。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/108.html

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